線維筋痛症(FMS)について
わたしと線維筋痛症(FMS)
2010年11月に確定診断をされ現在も闘病中です。
ときに、療養休暇となることもあります。
私なりに線維筋痛症(FMS)について書いてみました。
線維筋痛症(FMS)について
「痛いっ!」普通はカッターで指先を切ってしまったり、頭を転んでぶつけてしまったりしたときに人は痛みを感じます。
こういった痛みは末梢の神経が刺激されて、それが脊髄を通して脳に伝わり痛みとして感じます。侵害受容性疼痛(とうつう)といいます。疼痛とは痛みのことです。
通常、「痛い」「熱い」といった感覚は人間が危険な状態を察知するために必要な感覚で有用なものです。
痛みが暴走する…線維筋痛症
ところで、何もないのに痛みだけが継続して感じられたら人間どうなってしまうでしょう。
ちょっと想像してみてください。毎日24時間、どこかが痛い状態が続いたら参ってしまいます。
じつは線維筋痛症(FMS)では痛みのもとになる傷や、病巣はCTでもMRIでも、内視鏡でも…見つかりません。
では、何が起こっているかというと、研究の域を出ていませんが、中枢に近い側の神経が常に痛みの信号を発するようになっている状態です。
中枢に近い神経で起きていることなので顕微鏡レベルの研究が進行しないと真の原因は特定に至らないのです。
私自身の体験では、急に背中を刀で切りつけられたり、左側半分の感覚がしびれたり、痛みの場所も強さも時間単位で変わっていっていくことを体験しています。
薬による治療として神経の働きを抑制するリリカや抗うつ薬であるリフレックス、サインバルタなどが使われますが、「なぜ効くのか」という部分は完全には解明されていません。また、一時的に痛みを抑えるために麻薬に近い弱オピオイドと呼ばれるトラマールなどがつかわれます(ちなみにトラマールはがんによる疼痛にも使われます)。さらに痛みがひどい場合にはモルヒネなども使用されています。
人によりあるいは、気候等の状況により薬の効き方も異なり、また、副作用の出方も大きく違います。たとえばリリカを服用した場合はふらつきがひどくなり車や自転車を運転することは事実上できなくなります。私も自転車に乗れません(罹患する前はガンガン走っていた)。
見えない障害 … 「痛み」に福祉の救いはあるのか
「線維筋痛症」というだけでは障がい者としての福祉は受けられません。
また、厚生労働省が指定する特定疾患にもなっていません。現在、特定疾患に指定の病気の種類が増えていますが、推定罹患者数200万人といわれている状況で難病指定してしまうと簡単に財政破綻してしまいます。
日本の福祉についていうと(実はアメリカをはじめ西欧諸国では線維筋痛症はきちんと福祉の対象になっています。)、戦後の復員兵について特に手厚くされており、四肢を失ったり、あるいは可動域が狭まり生活に支障をきたす場合など眼に見えるものに制度が適用されます。あるいは重度の精神疾患、たとえば統合失調症などにも保護、救済手段が用意されています。
ですので、よほど重度で働けない体(痛みで「動けない」=可動域が狭まるなど)にならない限り、福祉のお世話になることはできませんし、また、病状に応じた職務の軽減等、先進国にある制度もありません。
現状では、「自力でがんばる」しかないのです。
私の場合、管理職が変わるたびに、本を1冊持って参上するようにしています。線維筋痛症のことについて、自分の口だけで説明しても「怠け」にしか聞こえないことは多く、一方、本に書いてあることであれば根拠として理解してもらえることも多いからです。 ただ、勤務先が変わればその方法も使えなくなるかもしれません。読み解くものが優秀でなければこの病気は理解できないからです。それが、この病気を難しくしている理由の一つです。
続いて発症から確定診断までについて書きます。